両羽博物図譜の世界
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タイトル:南郊著述目録     全

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 坐祐仮紳  五冊     明治七年十一月十一日より 
               〃九年十二月十七日に至る
  此書は枕頭を廃し、此名を下すものなり。
 銅籠仮紳(カバン)一冊  明治十七年十二月より
  此書は近時県会議員となりて、山形に往来を初め、車上等に得る所なき事能はず。依  て之をカバン中にして、携提する所とす。依て亦此一冊を作る、然ども未書する所少  し。
以上合せて五部九冊、惣稱して南郊仮紳とす。
   抜書書類
 玉石雑抄  六冊     明治八年八月十一日よりす   
   動物雑抄 三冊     明治十一年八月二十四日よりす
草木雑抄 三冊 文久二年六月九日より
文字雑抄 三冊 安政三年正月より
工芸の類
 伝法雑抄 二冊 安政三年正月より
弊貨雑抄 二冊 明治元年四月より
詩句雑抄 一冊 明治十年三月八日より此前に係るもの多しと雖も今不取
歌句雑抄 一冊 明治十一年二月十二日より
田猟雑抄 一冊 明治八年十二月十三日より
養蜂雑抄 一冊 明治十二年正月二十五日より
古器雑抄 一冊 明治十二年二月十八日より

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 諸説雑抄  一冊     文久元年二月頃より
洋諸雑抄 一冊 明治二年六月二十五日より
丹青雑抄 一冊 明治十一年二月一日より
以上十四部冊数二十七冊合せて雑抄とす。



 右の外雑書猶多しと雖も、全くの著述に非れば皆略す。
    明治十九年九月七日    松森胤保誌
 昭和十年十月十四日
 東宮殿下光丘文庫、台臨満十周年記念祝賀式挙行の際、同文庫の委嘱に依り、松森氏書 蔵の原書に就き、謹んで写し畢りぬ。
             土田久市

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   書目上頭円験例
○未だ著書と稱す可からざる者
○苟も著書と稱し人に示すも可なる者
◎修正を加へて世に公にせんと欲する者
●必世に公にせん事を欲する者
   書数表
  年月日            部数         巻数
  明治十九年九月七日改 七十二部       二百五十六冊
明治二十年二月二日改    七十七部       二百六十三冊

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  材料部 此材料部と稱するは、其書を著す時の材料に供するが為に、書する所なれば、      肯て著書の部に入れず。
 仮紳書類 此に仮紳と稱するは、他書に抄するに非ず。己が胸中に得る私見の惣忘        書なり。
桃傍仮紳 此書は学校に届るの日作者なり  一冊   嘉永四年二月四日より 
輿中仮紳  一冊     明治二年八月より
此書は官に在て、道中住来輿中にして。思に得たることを、仮書するものなり。 
  此他日記中に記するもの多し。
 枕頭仮紳  一冊     明治六年三月十八日より
               〃七年十一月十一日に至
 此書は官を止て、東都の往来を止むるが為に。駕中の仮紳を廃すと雖、猶区長の事務の多忙なる物を思うは。病中なり、夜中なり、■■に在るの時非は。私物を書するの間を得ざるに、依て枕上に置て得る所ある毎に暫く之に記す。依て此書、名を下す所のものなり。

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○開物獎勵  三冊     明治二十一年十一月中より書し
              同 二十四年十二月に至
 此書は予が網機を製造中に於て、他人をも開物の道に奨励せんが為に出する所なり。上を論説とし、中を前古の事とし、下を雑とす。要する所は皆人を、此道に勧むるもの也。
○陽光画譜  一冊     明治十四年十一月二十三日前書あり
 此書は、写真鏡方の未だ予が、地方に来らざるの前に在て。東京に於て之を学び得て、我検せし時の青にして。未だ著述と稱すべきの、書にはあらざるなり。之を陽光画譜と言うは、陽老画の譜説と言うの義なり。
○諸世界発見録 続夕和札久佐とす  一冊   明治十九年十一月二十五日一時の戯
世界発見と言うも、真の世界を発見するの謂に、非世期変遷を仮言するものなり。
○多和札草 前の続和惣及諸世界発見合て三冊とす  一冊
 遠客珍聞  今一冊

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    博物書類
 両羽走獣図譜
 両羽飛禽図譜
 両羽爬虫図譜
 両羽遊魚図譜
 両羽具螺図譜
 両羽飛虫図譜
 両羽雑虫図譜
 両羽植物図譜
○合両羽博物図譜 今五十冊
 此書は専ら実物に就て作る所にして、古書に
  

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依るものにあらず。
○大泉珍禽異聞  今二冊
 此書は他人の
○弄石余談  今五冊     明治十一年七月四日より
 此書は、玉石の事より雑石及び神代石及化石等の事。其他他人の蔵石等の図譜を合せ書する雑述也。
   記事書類
○松藩履歴  一冊
 此書、朝命に依て御出しの時、同僚山内等命を受けて之を撰して。進呈するも容られざる事、両回に及び止むなく、予其命を受けて撰呈せし所のものなり。
■郷先生言行一端  一冊     明治二十一年の自序あり。

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是皆己の履行する所に外ならず。依て之を実行書類の中に例す、只其文案の字面を見て、其門を誤る者とすべからず。
○松陽革政首尾  十二冊     明治二年六月より
                 同号四年 月に至
 此書は、予松山藩の執政後其大参事に在て。専ら其革政の事に任し、其規制を立つるものなり。然とも、朝旨しばしば変し之を改めざる事を得ず。故に之を分けて、前記二冊、中記六冊、後記一冊、付記二冊、合せて十一冊となすものなり。 
   記行書類
○三観記行  三冊     明治十四年十一月九日成
 此書は、松島、横浜、佐渡の三ヶ所を遊覧するの紀行なり。
○青嶋記聞  一冊     明治十七年四月二十一日
 此書は、自ら其地に行きしにあらずと雖も。此に行きし物の語を聞て、之が図譜を作り。三男岩雄に与へ、岩雄をして之を写して。我が家に、蔵せしむるを命ぜし所なり。

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○五観紀行  二冊     文久元年十月二十九日
              明治十年 月   日(日記を抄する所也)
 此書は、横浜、横須賀、金沢、鎌倉、江の島、の五ヶ所を遊覧するの紀行なり。
○淡嶋記聞  一冊     明治十七年六月十一日書写岩雄


   培植書類
●培殖小論  三冊
 此書は専ら、愛玩草木等の実験上に得たる所を以て、著す所なり。
●培植追論  一冊
 此書は、前の小論を著したるの後に及て。往々思ひ出たせし所、及往々さとり得し所を、追記せし所の書なり。



   工芸書類
◎南郊意匠開始  今三冊
 此書は、魚鳥の猟具及び、其他の百工器具等に至るまで。百事予が意匠を以て、得る所のものを。往々記する所にして、今猶稿を脱せざるものなり。

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 此書は、近時の世弊を救はんと欲する葵憂に出て、往々書する所なり。
○南郊雑論  一冊 三冊     明治二年四月十九日より
 此書は何事に限らず、往々記する所の雑説類を合綴する所のものなり。
 明治二十三年十二月四日に至り三冊となる。
   実論書類 此に実論と称するものは専ら具実実の上に就て之を論ずる者を言う。
○内外雑視前篇  五冊     嘉永元年外艦の初て見てより 
       明治元年旧幕の斃に至る
 此書は、幕府の求めて倒るるを見るに忍びず。事有毎に聊己が所見を述べて、悶を遣らんと欲して、未だ能はざる所のものなり。
○内外雑視後篇  今三冊 明治十年三月十五日より
 此書一(維)新以来、政の以て黄吻を容可きもの無からんとす。然るに、往々初の如くならざるもの有るに至る。此に於て、一新の初に溯りて一・二の論を述べ。事に触て之を書するものは、往々之に次ぐ可き所とするものなり。

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○新政弁疑  一冊     明治五年一月二十三日より
              三月二十三日に至成功
 此書は、維新の政を見て、其旨の在る所を弁せず。大に之を誹議するもの多し、依て我が私見を述べて、之を解説する所のものなり。
   実行書類
●三記抄  三冊
 此書は、東走記事、北征記事、南登記事の三記事中に於て。其事と為す可きものを抄出するものなり。彼の三記の如きは、全く日記に係るものなれば。無用の事多く、観者の見るを厭ふ可き事を知る故に。今之を抄して、外書となさんと欲するものなり。
○松陽公文案  四冊    明治二年十一月
 此書は、維新前後多事の際に在て。官に予が作る所の草案を、載するものなり。要するに、

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 三言は、危言、内言、余言の三言とす。
 此書は、旧来世上に鴻蒙説の行はるる。有大に文化の進路を妨害すること少なからず、且明治維新の改正に依て国家と称するもの。其勢力を借りて弥、鴻蒙説を世上に盛ならしむる事、有らざるを保せず。此に於て、天物の実際上に就て其証を上げ。眞理の有る所を世上に示さんことを思う、此に於て此書あり。然とも神為を張らされは、世の之を容る事なからんことを恐れ。危言に於ては、専ら之を神為に仮て之を論し。内言に於ては、予が神と言う所のものは。世の所謂神と異にして、神其神に非るを言ひ。他日名教私見の草を脱するに及ては、孔子の所謂神なるを示すに在るものなり。然るに明治十九年の今に及ては、文化大いに進む所ありて。往々真理諸論之
舶来する有を、世に流布するを以て。我が説の紆回を待たすして、明なるに至るが如しと雖も。其天理人道に至ては、未だ名教私見を欠事能はず。
●政教論  三冊     明治十九年
 此書は、今の政は教を外にして。単に法律に偏するの弊害多くして、終に救う可からざるの勢に至らんことを患て。政教一致の、利を論ずるものなり。
◎名教私見 三冊     明治
 此書は、名教則聖教の私見を述へ。一は以て後世学者の見解の誤謬を匡し、一は四海教法及政刑理論の非を正さんと、欲するものなり。
○世弊論  今二冊    明治二十三年十二月四日

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   教育書類
○談論雑記  今二冊     文久三年八月二十五日より
 此書は、予に問うもの有りて。之に答うる所のもの数多く有る中に、一・二の筆にするもの有るを集めて、此書となすものなり。
●止戈小議  一冊      慶応二年十一月二十六日
 此書は、旧幕の李世に及び。我が藩に至るまで、武士道の衰頽するに至るを。予之を患て、之を著はするものなり。
○人身健康保全論  一冊   明治十一年四月十五日序
               〃 十二年一月六日 成
 此書は、今にして之を言へば衛生論なり。此時病中に在て述うる所にして、前後錯雑文をな
さるるもの蓋し多し。依て之を改書せん事を思て、未だ能はざるものなり。
○衛生救弊論  一冊     明治十年 月  着手
 此書は、前書の不足を補ひ、且之を修正せん所のものなり。
◎南部鄙見  今三冊     明治四年五月八日の序あり
 此書は、儒教の中に於て発明することを、往々雑記するものなり。往々不時に之を書するが為に、其重復極めて多を恐るるものなり。他日もし間あらば之を修正せんことを思うも、未だ能はざるものなり。
●侵勢三言 一名天理人道論  三冊     明治二年四月二十二日成
                       〃六年七月  序あり

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   物 理 書 類
◎光色私言  三冊     明治六年八月十日
   内追言一冊あり
 此書は、今にして言へば光学の書なり。この時英人合信氏が視学一歩を看て、大いに感ずる所あり。依りて此書を作るものなり、然れとも今にして之を見れば、謬説も亦少なからざるが如し。他日重ねて修正せずは有べ可らず。

●声音私言  一冊     明治九年十二月二十二日之序あり
 此書は、今にして之を言へば声学の書なり。
 是は未だ西書の一端を見ず、全く一已の意匠を以てなせし事なり。
◎求理私言  六冊     明治八年四月六日の序あり。
 此書は、天地四季、昼夜、動植、器械の理に至るまで。努めて西書に依らずして、論ずる所のものなり。

●物理新論  三冊     明治十八年一月より
 此書は、大は天地日月の事より。小は動植二物の事に至るまで、専ら私見の新説あるものを論じ。或前書窮理私言の論ずる所のものも、一・二取捨する事あるものなり。

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 此書は、予が自作の類別して、一書となせるものなり、其れ之を別っや、通常の詩冊の例の如く。其体裁(体裁とは、五言古詩、七言古詩、誹律絶句等の別を言う)を以てせずして、声調又は事実等を以てするものなり。
●南効詩話  今三冊    明治十四年十月九日
 此書は別に意義なく全の詩話なり。
●和漢声音名義弁  八冊  明治十五年十月十五日
 此書は、字音詩音律、五十音等を始め、博く和漢の声音
 名義に亘るものを、論ずるものなり。然れども、世の所謂声音学の事をば、之を声音、和音に譲りて此に論ぜず。
○清客問答  一冊     明治十八年五月五日
 此書は、清朝人淅江省寧波府人王藩清号は。明琴仙なるものに就て、草木の事、四声の事、音韻の事、楽律の事等を問ひし所なり。然とも予が旨の有る所は、字音の事に在るが為に此に列するものなり。
○続和惣兵衛物語 変名多和札草とす。  一冊  明治十八年春中酒田借家に於       物語にして此に入は狂句を主にすれば也 此書一時戯謔に出て、狂句を言に出るものなり。

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  雑 書 類
○内家公文案  一冊     明治三年十月より
                同十年十二月に至る。
 此書は家事に就て、官に達する所の書類の下案及其辞令書、又は達書等の類を略さんとする物也。之を過る以後、之を又次郎に委す。
 松山公御直書往復留  一冊 明治三年三月二十五日より
  外書部 外書と言は、内書に対するの語にして、私家の事を離れたる書類を言う。
   文章類
○言文一端  三冊     明治十四年十一月二十七日の序あり
  同付記  一冊
 此書は、言語文学の道に於て、人の忽にするとこの中に、種々の作用有物なれば。一・二それ等の事を書きて、真に一時の雑述に係る、児輩の戯習に充るの書なり。
○息遊集抄  今三冊    弘化二年より
 此書は予が自作の詩にして、息遊集中より少しく誦詠に充つべきものを雑抄する者なり。●南郊類別詩集  二冊   明治十年より着手

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 故園四季景物  大一冊     明治二十二年一月より筆を下し
                 同 二十四年十一月五日に成
 此書は予松山に官遊する事十八年にして、故郷大宝寺の御持筒町、則今の宝町に帰る。邸は則是なりと雖も、佳は則佳其楽極まらず。固一年間の情致、景致を記して他日に伝う。 北征余談 
 一冊     明治二十三年八月二日記 
          日 誌 類
○日 記  今二十六冊     万延元年十月十一日より始む
 此書は平日の事己が身上に関するものを、悉皆誌す所なり。其中時に依て詳略無はあらず、其前にも作りし事有しと、今欠学校日誌を亦欠く。
○鳥刺控  二冊     天保 年九月十三日より
 此書は予が
○雀羅誌  一冊     明治十四年二月十二日より
 此書は
○銃猟誌  一冊     慶応元年六月十五日より

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 此書は予初松山に官せし頃、役儀に依てゆるされ。維新の後に及て、猟銃の鑑札を受て猟せし日誌なり。
○吹猟誌  一冊
 此書は
○箱猟誌  今一冊     明治十四年十月十七日より
 此書邸後の川に、雑肴箱なるものを作て。時に之を開き、獲る所を誌するものなり。
○持網誌  今一冊     明治十八年七月二十七日より
 此書は邸後の川にて、獲る所を誌するものなり。

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 物録類
○幣貸録  二冊     文久元年十月二十九日より
 此書は古金銀幣を貯蓄する所の記なり。
○銭貸録  二冊     文久元年十月  より
 此書は古銭種銭等を貯蓄する所の記なり。
○培植録  五冊     文久二年秋より
 此書は我が家の先代より、植る所の草木の言伝へあるものより。我が植し所のものの中、其時にありて心に適するものを記する事なり。
○蓄養録  一冊     明治六年十月二十日より
 此書は予が幼時より蓄養せし、諸勤物の事を
記せる所なり。
○邸産録  二冊     天保十年八月十日より
 此書は我邸中に産する所の、著なるものを記する所なり。
○家財新調録  二冊   安政七年十月二十七日より
 此書は予が手にて新調せる、諸物叶を記する所なり。
○家蔵五習雑録  五冊  慶応二年正月十日の序なり。
 此書は予が手に付集会せん、珍奇の物を記する所なり。五玩とは何ぞと言うに、則左に一に玉石とし、二に貝螺とし、三に植物とし、四に禽獣虫魚とし、五に精工の珍器とす。  

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びず。依て暫く此に列して、内書の末に加うるものなり。
○遊覧記  四冊     天保十二年正月九日より
             天治二年四月二十六日に至
 此書は予が若き時より所々を周遊し、或は奇物等を見たる事有るものに。図譜を作りたるものなれど、雑述にして世に公にすべきものに非ざれば。暫く此に列して、内書となすものなり。

○温海土産  一冊     安政四年四月入湯の日成
 此書は一・二の親戚と温海に浴するの日間、暇の余録する所の戯謔の書にして。又他人に示すべき所にあらず、殊に其同行の者は。皆親近
のものなれば、旁此に列するものなり。
 長坂氏の近書二篇
○勤書控  一冊     天保十二年正月十七日より始
             明治七年十月三十日に作る所
    履歴書付
 此勤書は、初篇、中篇、末篇を合せて一冊となし。明治十七年に及び、酒田の戸長となりし日の履歴書下案も、亦之に付する所なり。
○南郊著述目録  一冊  明治十九年九月六日より
             同年同月七月に至てなる
 此書は則此書なり
○南郊身世記事 十五冊  明治二十三年一月十二日に至て中止
 此書は胤保の一身上、終始の各事を記するものなり。始めの百年間談を記して、九篇に至るも末履歴の有ざる時に。始め雑のみ多ければ、改めて此書となすものなり。

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○家産会計籍  十冊     明治五年暮より始同十四年に至以下又次郎に託
 此書は士家禄を失ひし後に及ては、資金の最も軽視すべからざるに至るが為に。又之を家書の一に、列するものなり。
○手元金勘定帳 今三冊    明治十五年より事を始む
 此書は予家を譲し後、猶一・二月給等を得る事有て。初は之を家に与うと雖も、予が筆墨の資末子末女の費を合せ。悉く之を又次郎に託するも、却て困する所あらん事を恐れ。近時之を分けて、別に之を立つる所のものなり。
○息遊集   今四冊     天保十四年より
        五冊     明治三年十二月   
  此書は予自作の誌を雑記するものなり、是必
しも内書に属べ可きものに似ざるが如しと雖も、其詩の多雑作を混ずる。未だ他人に示す可きものに非らず、依て之を内書となし。其中少しく誦すべきものは、之を抄して外書となすものなり。其部に就て之を見るべし。

○南郊野草  一冊     明治十四年十二月十四日の序あり。
 此書は和歌発雑句の類を、自記するものなり。予元より之を学ばずと雖も、往々一・二の矢口に係るものあり。然とも所謂之を学ばざる、之を人に示すに足らず。然とも亦たまたま口を矢くもの、徒に之を鳥有に属するに忍

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○北征記事  六冊     明治三年三月四日清写成
 此書は明治元年五月、宗藩の内命を受けしより其参謀に任し。松藩の軍勢惣裁、其君の採代を以て二藩の軍を率ひ。宗藩の隊頭松平甚三郎に従い奥の白川に向て発し、転じて秋田に向って各藩と共に之を討し。同年九月軍を収めて帰り、其事を終る迄の日記を抄するものなり。
○南登記事  一冊     明治三年三月二十七日清写成
              同七年八月二十四日序あり
 此書は明治元年九月二十七日、秋地の兵を収め同二十二日凱歌を奏せしより。次て御謝罪の事を計り、駕に従て東京に南登し。首謀の罪を鉄鉞の下に待しより、天恩を以首領を全くし。従て
明治二年の春に至り、公議人を暦て帰るまでの事を記するものなり。皆当時の日記を、抄する所のものなり。
 監帳付諸口調帳 乾坤
 私惣金前後調帳 全
○右合冊  一冊     嘉永四年七月より文久二年の暮に至
 此書は予が若き時至貧にして、遂に立つべからざるを見て。予猶曹に在りと雖も、心を尽して私金を殖し。後日の備をなす所の、諸勘定帳の類なり。方今の世に及て士は、其家禄を失ひ家を守る所の者は。只其資金の一に帰するが為に、暫此に列して家書の一に加るものなり。

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及び小物成の事より。佛名詳忌日年忌繰及び、困外困内の年中行事及胤保が。年数を繰の便供する者及び、其内外諸親族の便覧に供するものを記するものなり。
 松森氏土壌録  一冊     明治十年一月二十九日の起草
 此書は当時所有の邸宅、山林等の事を詳記して。往々土用等の事を詳記せんと、欲するもの也。然とも之は此に止め別法を起して、更に又次郎に書せしめて更に蔵す。
 松森氏家宝目録 一冊     明治十九年九月十日より
 此書は当家重代の宝物を類別して、詳記せんと欲し。此日先ず秘府の要書類より、筆を下すものなり。

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 一身書類(一身書類と言うは、先世の事に関せず。胤保が一身上に止るの事を記するも      のとす。)
 百年間談 此書は履行に係る談語を記するものなり。今九冊 元治元年十一月二十一日着手 今猶廃せず身世記事成て廃す
 東走記事  一冊     明治三年三月二十七日清写
              同 七年八月二十四日の序あり
 此書は幕季に及ぶ、予松山藩の大夫を以て。一・二天下転覆の余波を被り、元治元年宇都の宮に於て。水戸氏の賊に逢はんとせん事を始めとして、慶応三年十二月薩邸の賊を討せしより。将軍は東都に走り宗藩は東羽ねに走るまで、我経歴する所を記するものなり。武士の身にして、故に奔ると稱するものは。最も慎する所有るに、出づるものなり。

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  を記するものとす。
○花橘の記第二帙  三冊     明治四年四月 より着手
               同八年三月十三日に至て成
 外には録一冊、我が叔父氏家仲右衛門君の記に係もの四冊を著し。先世の遺事の係、譜及び勤書等に漏るる者を載録して。子孫に伝うるもの有り、予依て之に続けて第二帙となして。又其遺事及先考先巴等の事を記して、更に子孫に伝うるものなり。後嗣後孫往々之を続けて家と共に、無窮に伝へん事を欲する者なり。
○長坂氏略世家 初篇一冊     明治十年十月七日序を記
                 同号十二年三月十一日表紙成
 此書は最祖長坂右近助殿以来、我孫松森胤宗 
   に至まで、前後十二代の大経を略書する者也。之に初篇の二字を加るものは、後嗣子孫の之を続て。更に二篇を作る者有らん事を、願う微意なり。 ○長坂氏家録交換録一冊     明治十一年十月七の序あり
                同月二十四日日成功を告の文あり
 此書は大祖長坂源右衛門殿、酒井家に事へて家禄を賜はりしより。其中の増減を歴て、明治の一新に至り。金録公債に変再変して、資金となすに至る迄、之変換を記する者なり。


○家事雑集  一冊     慶応元年十一月二十一日成功
 此書は家中の行事と言う者の如く、物成の事

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   実行書類 兵事
   記候書類 政事
   培植書類
   博物書類
   記事書類
   工芸書類
   雑述書類
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 右目録終
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 南郊著述目録
  内部書 内書と言うは、全く内家の私事に止まる所にして、旨て外人に係る所の物に非ず。
   先世書類 先世書類と言うは、先世の事に関する物を記するの書を言。
○年表二篇  二冊     明治六年九月十日より着手
              同号十九年の今に至るも止めず。
 此の書は先考己に先世の年表を作るもの一冊あり。予之を以て初篇と看なし、更に其遺志を続て之を作りて、以て二篇となす。子孫の志ある者は、往々之を続て三篇・四篇を作て。窮極なからん事を、欲する者なり。
○年表外篇  一冊     明治六年六月十一日より着手
              同号十九年の今に至るも止めず。 
 此書は末家及び我が家より出し者の事を

タイトル:南郊著述目録     全

が目録を作て此の書となす。然と雖も、陋僻之寒士力之を梓にする事能はず。空く之を器中に積て蠹魚の。食に供するに外なからんとす、豈憾なからんや。子孫幸に此志を続て、此書を撰び一・二の以ての考か。之に過るもの有とせんや、考子考孫願ば夫れ之を勤めよ。然と雖も、予が書を著はすや聖教を除の外は。専ら私見の新説を主とし、且老後多数の言を記するが為に。義と文と共に力を尽す事少きが為に、其過てるものも定めて応に多かる可く。予に於ても、自往々其非を知るものあり。況や有眼多力の士に於てをや、故に若し之を公にせんと欲せば、必其修正を加へん事を請うのみ。
 明治十九年九月七日  羽前鶴岡 松森胤保自誌
 南郊著述書目録の大綱録
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タイトル:南郊著述目録     全

人の願を奪はず。家を継て立に及て、国家予に命じて中山の大夫に任ず。藩は小なりと雖苟も士民の上に立て、之を治むる事を得るに至る。従て戊辰の乱に及て、忽其藩の軍勢惣栽と言を以て、其君の採代となり。従て庄藩の爵下大夫となり、其参謀を兼両藩の兵を率いて戦に臨むを得。転戦数回に及ぶと雖、君公の霊と兵士の勤とを以て戦へば必勝、攻れば必取り未だ曽て一敗を取る事あらず。此に於て三たび其録を重ね、更に一家を立つる事を得るに至る。人臣の栄此に於て、又極れしと言はざるを得ばからず、然りと雖も辺土の小藩。既に朝敵の汚名を受るの余を以、終に良史の筆を 労する事を得可か
らず。然らば
則人民の栄は、巳に此に極むと雖も。猶何り偉功を天下に立て、大名を無窮に垂るるの宿志を、逞しくする事を得んや。是命なり、命は如何ともする事を得べからず。然りと雖も孔子なり、丘明なり、命を知るの後に及て。其書を著はん世を救ひ名を伝う、且我之を聞く志士は、若くして学に長じて世用をなすと言ひ。又言士若くして学び以、之を巳に入四十初老の年に及び。初て之を己れより出し、或之を行ひ施し、或は之を言に発し以て人に教ゆと。予は孔子の道を学ぶ者なり、知命の後と雖、豈之を外にすべけんや。此に於て、老後往々一・二の得る所の者を筆にし、己に数十百巻に至る。此に於て今之

タイトル:南郊著述目録     全

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 南郊著述目録     全

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  南郊著述書の首2題
 予若して書を読みをもへらく、男児の世に在宜しく偉功を天下に立つ。大名を無窮に轟す可し。然に能はず、死して草木と同じく朽つるは丈夫に非るなりと。此に於て、先王孔子の道を学び大儒となりて、天下の名士たらんと欲す。然とも予が性の駑下なる、先師坂尾{ボ}郷に誅して、終に能すべからざるを知る。此に於て重ねて、をもへらく学は章句の末に。汲々として道学先生に習んより、寧其旨に通し、文武の大体を身にし、治に在ては大夫となり、人に治められんより、人を治めん事を欲し、乱に逢ては将師となり、人に使はれんよりは、人を使うの人たらん事を希う。然るに天  



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